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「インボイス対応コスト毎月3413億円」は本当か? 数字とメディアに翻弄されない方法

 

インボイス制度の導入に伴う事務作業の増加で、毎月3400億円の追加コストが発生するという試算がSNSで話題となり、「本当にバカな制度」といった反応や、中には「経済合理性もないことが鮮明に」と反応した国会議員もいた。しかし、発端となったこの数字には理由があるという。

【映像】人々がメディアに翻弄されるメカニズムとは?

複数税率のもとで適正に課税するための仕組みとされるインボイスだが、課税事業者となってインボイスを発行しなければ取引先から排除される恐れがあるなどとして、制度開始目前に迫っても中止や延期を求める声が上がっている。

10月1日の開始まで待ったなしの状況だが、実際に制度が始まると何が変わるのか想像しづらい人も多いのではないだろうか。そんな企業や従業員に対して、インボイス制度対応体験キットを提供しているのが、電子帳簿サービスなどを提供するLayerXだ。

「実在する領収書をベースに弊社がデザイン化したもので、例えば『登録番号:T~』と書いてあるものもあれば、ハイフン入りの番号、登録番号という記載がないもの、領収書の印字の後ろに書いてあるケースもある。これを従業員が1枚1枚、番号の有無や有効なのかを確認するのは手作業だとなかなか現実的な運用にならないと思う」(LayerX 稲田宙人氏、以下同)

例えば、経費精算一つとっても、登録番号の有無や、番号が有効なものなのか、などの確認事項が増える。LayerXはそうした事務作業の増加を、体験キットによる研修をした企業40社の経理担当者らの作業時間から試算した。すると、請求書の支払い作業が1件あたり15分、経費精算の処理は5分増加した。経理担当者の業務量は1カ月当たり約1~2日分増えるという結果となった。

経理以外の従業員の作業量と合わせると、日本全国で月に約3400億円の人件費負担が発生する可能性があるという。この結果にSNSでは「月に3400億円=年に4兆円」「インボイスで見込める税収増加は年約2500億円。圧倒的なマイナスです」などの反応があった。

しかし、発表された資料をよく見ると「制度対応に関わる業務を手作業で行った場合」とある。インボイス制度に対応した会計システムを導入する企業もあるため、あくまで参考的な数字ととらえた方がいいのかもしれない。

「あくまでも『月間でこれくらい増えますよ』という話であって、“年間4兆円”のような話は一切していない。(従業員の)慣れであったり、会計ソフト側の対応だったり、もしくは我々のようなシステムベンダーの方のアップデートといった部分も、インボイス制度が進むごとにされていくと思うので、その部分は考慮に入れてない」

LayerXは体験キットや調査結果の公表について、インボイス制度への対応や理解が進んでいない企業や従業員に具体的なイメージをしてもらうための情報提供だったと説明している。

インボイス制度対応体験キットを使った企業からもらう声にも、会社の規模感や請求書・領収書の枚数だと『システム入れなくても対応できることがわかった』『現実的な運用フローだとわかった』といった反応もあるので、全ての会社が新たにシステムを入れる必要はない。その上で適切な対応の準備を進めるきっかけになればいいと思っている」

この話題について、日本ファクトチェックセンター編集長で、ジャーナリスト/メディアコラボ代表の古田大輔氏に話を聞いた。

━━インボイス対応のコスト試算についてどう思う?

「新しい制度を導入したら、当然それを導入するためのコストはかかる。それを試算してみることは素晴らしい。ただし、資料を見たら、それほど正確な数字ではなさそうだと、なんとなくわかると思う。それを直接引用して単純に3400億円に12をかけて“年間4兆円”と書いてしまうのは、この資料の正確性にも問題があり、メディアの報じ方も安直すぎるのではないか」(古田氏、以下同)

━━なぜこの数字が拡散された?

「『経済的合理性がない』と拡散しているのは制度に反対している国会議員だ。また、政府の試算では『インボイス制度により年間2480億円の増収効果』があるが、『月間で3400億円のコストがかかったら経済的合理性がない』と単純に考えてしまいがちだが、少し立ち止まって整理すべきだ。3400億円を企業が払ったとしても、それは人件費なので給料になるため増収効果と同列で語ることはできない。制度に反対する人たちが自分に都合のいいところだけつまみ食いして情報を出す危険性がある」

━━企業は算出根拠を説明しているが、誤解されかねない表現だった?

「“月間3413億円”と書いてあると、『毎月なら年間で4兆円』といった計算をしてしまう人はいると思う。LayerXの方が追加で説明されていたように『慣れや様々なツール導入によりコストはそのうち縮小されていくだろう』といった、ただし書きを入れておいた方が良かったと思う。

━━メディアが情報をよく精査せずに拡散することもある?

「こういう調査結果が出ると、メディアはやはり一番目立つ数字を使いたがるが、読者をミスリーディングする危険性があるので丁寧に資料を読み込む必要がある。今回の例で言えば、“3400億円”はいろいろな前提に基づいた試算に過ぎず、それほど正確な数字じゃないということを、記事を書く人自身も理解する必要がある」

「ただ、LayerXが今回PR TIMESに資料を出しているのも、顧客開拓をするための資料でマーケティングの一種。だからこそ、より広がるように目立つ数字を押し出しメディア側も、目立つ数字を出すと自分たちの記事が注目されるので使うという共犯関係みたいなものが成り立っていると思う。しかし、メディアは正確な情報発信が第一なので、企業側がマーケティングでそういう情報を発信していても、それを精査する活動も必要だ」

(『ABEMAヒルズ』より)

「インボイス対応コスト毎月3413億円」は本当か? 数字とメディアに翻弄されない方法

(出典 news.nicovideo.jp)

 

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